北村 佳久先生の紹介ビデオ

横浜栄共済病院 北村 佳久先生

井上:今回は本郷台にある横浜栄共済病院脳神経外科部長の北村佳久先生にお話を伺いに参りました。鎌倉市医師会の先生方は北村先生のお名前は聞いたことはあるけど患者様を送るほど親密ではないというドクターもいらっしゃると思うんですよ。そこでこういったホームページを通して先生同士の連携を密にしたいと考えてるんです。

北村:現在の脳卒中を取り巻く状況ですとCTで異常ないから放っておくというのは時代遅れになってまして、CTの次はMRI、その後にインターベンション手術を行うということまで視野に入れておかないと本当の脳卒中の治療にはならないわけですね。そこで今言われた連携体制、またはきちっとした輪番体制が必要になってくると思うんですけど。その中である程度専門分けもあります。インターベンションを中心とするところもありますし、私のところは手術を中心とした治療法ということになります。当院では、全部ではないですが、MRIが夜でも動くことが多いです。この辺りが急性期の治療のポイントとしては特徴的かもしれないですね。

井上:CTなどの設備がない施設などではしびれなどでいきなり先生のところに送っちゃっていいのかというのもあるのではないかと思うのですが

北村:それは基本的には構わないです。私のところでは24時間しびれとか頭痛に関しての治療はしてますし、しびれの中でも多いのが頚椎症によるしびれ、慢性硬膜下血腫によるしびれですね。私のところでは外傷から頚椎症までやってますので、いつでも来ていただければいいと思います。それと急性期で重要な脳卒中の疾患は二つあると思います。一つはクモ膜下出血です。これは意識障害か頭痛があるのでCTで分かりますので、早急に脳外科の専門病院に送るべきだと思います。もう一つが脳卒中の脳梗塞脳出血です。出血性のものはCTで分かりますが、梗塞性のものはCTでは分からないです。明らかに片麻痺がある場合はCTで予想だけしないで次の病院に送るべきではないかなと思います。

井上:一晩様子見ようかではなく送っていいというわけですね。

北村:それでいいと思います。画像所見プラス身体所見で判断して次の治療が行える病院に送るべきだと思います。この二つの疾患は早急に治療が必要となりますからね。

井上:鎌倉市の輪番をみていますと一般外科、あるいは一般内科といった脳卒中の外科的治療は専門外という先生が当直していることが多い。このような状態ですと一晩様子を見ようということがあると思います。そういった先生に対してもっと送ってもいいんだよという風に知ってもらうことが必要ですね。

北村:はい、必要だと思います。二次輪番の病院から専門医のいる病院のバックアップということになると思います。そのなかでうちと大船中央病院、湘南鎌倉総合病院がうまく協力できれば治療も早く始められるのではないでしょうか。

井上:無責任で転院するのではなく、早急な治療が患者様のためにもなるということを救急隊にも理解していただきたいと思います。栄共済病院では夜間はどういった体制をとっておられるのですか?

北村:当院は内科、外科、研修医の三名が当直にあたっていますが、そのうち脳外科の医師が月の外科当直の三分の一くらいやっています。残りの三分の二でも脳外科は24時間オンコール体制です。脳神経外科の医師、5名のうち4名は病院の向かいに住んでいるので24時間誰かが必ず動きます。私も月に4~5回はオンコール体制です。それ以外にもいざ手術となったら横浜にいる限り呼び出されます。

井上:うわ、大変ですね。(笑) 正直言ってつらくないですか?

北村:そうですね。でもこれが職業なんで。(笑) この前、この地域の病院の脳卒中科が交代で受け入れ態勢を整えようという提案がありました。うちも5人でなんとか診察にあたってますけど24時間全部というのは埋めれないし、輪番がよければそれもいいと思います。

井上:その辺は鎌倉市、横浜市といった行政のラインを超えて出来れば一番いいと思います。

北村:私どもも輪番ができればバックアップを取らせていただきたいと考えてます。

※先生の肩書き、所属等はインタビュー当時(2003年12月3日)のものです。